事故被害者の生活を守る成年後見制度の基礎知識

事故に遭った本人が意識不明となったまま戻らなかったり、著しく判断能力が落ちたりした場合、今までと同じような生活を送ることが極めて難しくなります。

このような時に、社会生活の中で本人を保護していくために、成年後見制度が設けられています。

ここでは、成年後見制度の基礎知識について解説します。

重篤な精神的被害を受けた本人を守る成年後見制度

成年後見制度とは、何らかの理由により本人の判断力が極端に低下し、意識不明から戻らないような場合、本人に代わって生活上の様々な行為や財産管理等を行う人物を、主に親族あるいは弁護士の中から指定します。

人間は、その生活を維持するために、買い物から各種の契約事に至るまで、外部と関わりながら生きていくものです。しかし、事故で意識障害や判断力低下などの重篤な精神的被害を受けた人は、単身では自分を守り暮らすことができません。

そこで成年後見人を指定し、本人に代わって社会生活の支援を行い、また事故の加害者に対しては損害賠償を請求する等、総合的なサポート体制を整える必要が出てきます。

成年後見人の指定が求められるのは、以下の条件に該当する場合です。

・本人が20歳以上の成人であること
・本人が意識不明あるいは著しく判断能力が損なわれていること

本人が未成年である場合は親権者が管理監督するため、後見人を指定する必要はありません。また、意識不明あるいは著しい判断能力の欠如が起こる傷病として、高次脳機能障害や遷延性意識障害、脊髄損傷等が挙げられます。

成年後見人となった人物は、本人が適切な社会生活を送れるよう配慮し、財産管理を行いながらその生活を全般的に支援していくことになります。

事故の加害者に対する損害賠償請求についても、成年後見人が本人に代わって行い、解決を目指します。成年後見人の役割は、本人の意識と判断能力が回復したと認められる場合か、本人が死亡するまで継続します。

成年後見人の候補者と申し立て手続き

成年後見人になれる人物として親族が最も優先され、親族では十分でないと裁判所が判断した場合は弁護士等の第三者が選ばれています。

申し立て

成年後見人の申し立てを行うには、申立書の他、本人の診断書や戸籍謄本等の公的書類、本人の財産目録等を揃え、手数料と指定された郵便切手とともに、管轄の家庭裁判所に提出します。

申し立てを受けた裁判所は、書類の内容を精査し、成年後見人候補者と面談を行い、その適性を審査します。

審判

審査の結果問題がないと判断されたら、家庭裁判所により成年後見人が指定されます。

裁判所の判断により、弁護士等の第三者を選任することもありますが、結果に不服がある場合は2週間以内に不服申し立てを行うことも可能です。

裁判所による通知

裁判所から、成年後見人を選任した旨が記載された審判書が送達され、これをもって成年後見人としての業務が開始します。

成年後見人の金銭管理における注意点

配偶者や家族が成年後見人となった場合、本人の金銭収支について裁判所への定期報告が必要となります。

弁護士等が成年後見人になった場合は、本人の金銭収支は厳重に管理されますので、必要なお金がある場合は、毎回後見人の許可を得る手続きを行わなければ行けません。

配偶者や家族が成年後見人となり、弁護士等が後見監督人となった場合、後見人が営業や借金等の重要な事柄を行う時は、必ず監督人の同意が必要です。
また、監督人は財産管理上、後見人に対し、いつでも収支状況等の報告を求めることができます。

後見人が必要となる重大事故は弁護士に依頼すべき

意識障害や判断能力の障害を負うような重大事故では、家族であっても単身で対応することには大きな困難を伴います。

特に、重大事故の場合は賠償金の額も大きくなりますから、保険会社から提示される金額が適正なものなのか判断が付きにくく、正しい対応を行うことが決して簡単ではないことが想定されます。

後見人という大役を担うことも、自分自身の生活や仕事を抱えながらでは大変大きなプレッシャーとなりますから、弁護士の力を借りながら後見人としての仕事を進めるという選択肢を積極的に検討すべきだと考えます。

弁護士がいれば、依頼を頂くことで煩雑で精神的負担の大きい損害賠償請求手続きも任せることができますし、被害者本人と成年後見人たる親族の生活に対して力強いサポートを受けることが可能です。

損害賠償請求の手続きにおいては、本人や家族に強いられた精神的苦痛を慰謝料の上乗せ事由にできないか等、当事者が何らかの形で報われるように最大限の力を尽くしていきます。

弁護士としてサポートできるのはどうしても金額的な部分になるものの、当事務所では、少しでも本人及び家族の心情や生活を補えるようなスタンスを心がけています。

ご相談はいつでもお受けしていますし、弁護士との話が状況整理のきっかけや解決の糸口となることも多々ありますので、まずはお気軽にご一報頂けることをお待ちしております。

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