高次機能障害の基礎知識と、弁護士を入れた後遺障害等級申請のメリット
事故で脳が外傷を受け損傷することにより、脳が司る様々な機能が欠けてしまったり、人格や行動が大きく変化したりすることがあります。
一定の基準に当てはまる場合、これらの症状は高次脳機能障害とされ、後遺障害等級が認められることになります。
今まで通りの日常生活や社会生活を送ることが困難になるため、加害者に対しては、弁護士を入れてしっかりと賠償請求しなければいけません。
ここでは、高次脳機能障害の知識や弁護士を入れるメリットについて解説します。
目に見えにくい主症状が表れる「高次脳機能障害」の定義
事故で頭部に深刻な外傷を負った場合、脳が損傷することがあります。
自賠責保険では、脳に外傷が認められ、一定期間の意識障害を経て様々な症状が発現し、日常生活への復帰が困難になるものを高次脳機能障害の定義としています。
- 頭部に外傷があり意識障害が認められる
- それら外傷について後遺障害診断書に記載がある
- 以下に挙げる症状が確認できる
脳挫傷や急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血等が該当します。
「記憶を留めておけないため何度も同じ事を尋ねたりする(記憶障害)」
「著しく集中力が落ちるため飽きが早くミスも増える(注意障害)」
「感情コントロールが困難になり暴言や幼児退行、意欲低下等が見られる(人格障害)」
「自ら組み立てて物事を進めることができない(遂行機能障害)」
「相手の言っていることは理解するが発語ができない・発語はできるが相手の言っていることが理解できない(失語)」
「目的を持って体を動かすことや服の着脱が困難になる(失行)」
「見えるものや聞こえるもの、触るものが何なのかわからない(失認)」
初診時の画像診断において脳に外傷があったことが明らかであり、そこから3カ月以内に脳の萎縮や拡大が見られる
脳に外傷を負うことで、意識あるいは行動面のコントロールがうまくいかなくなるのですが、これらの症状は目で確認できるものではないため、診断や立証が非常に難しいとされています。
しかし、被害者本人やその家族にとっては、突如として日常生活から激変した環境に突き落とされ、治療問題や家族関係、経済的な問題等、あらゆる大きな不安と闘っていかなくてはなりません。
これは大変深刻な問題ですし、相手方には加害責任として、後遺障害慰謝料はもちろんのこと、逸失利益や介護費用等、十分に賠償してもらえるよう準備していくことが重要です。
目に見えにくい「高次脳機能障害」で適正等級を得る難しさ
自賠責保険によると、後遺障害等級1級と2級の違いは「常に介護を要する」か「随時介護を要する」という記載以外に見当たらず、詳細な基準がわかりにくいという問題があります。
1級を獲得できるか2級に留まるかによって、自賠責保険の慰謝料額は1,000万円もの差が生じるため、後遺障害等級の申請は1級を目指して慎重に進める必要があるのです。
実際、高次脳機能障害の症状は常に発現しているとは限らず、また目視しにくいものもあり、医療者としても非常に判断が難しいと言えます。
従って、治療経過を丁寧に観察し、少しでも気になることがあれば主治医に伝えて情報共有に努めることが重要です。
また、できるだけ積極的に弁護士への依頼を検討し、賠償金を最大化するために適正な等級を獲得する作業も同時進行しなければなりません。
当事務所の経験としても、賠償金額は後遺障害等級によって8割方決まる印象ですので、ご依頼を頂いた場合はまず適正な等級獲得を目指し、裁判所基準に基づいた粘り強い交渉を行っていくことになります。
重大事故は当事務所弁護士まで速やかにご相談ください
重大事故の場合、加害者に請求できる賠償金額が非常に高額となります。
例えば、全体の金額が5,000万円とすると、過失割合が1割違うだけで500万円もの差が生じますし、後遺障害等級が1つ違うだけでも数百万円から1,000万円の違いが出てきます。
また、一人で相手方保険会社と話を進めていた場合、あまりにも金額が大きすぎて、提示されている額が適正なのか冷静に判断することが難しくなります。
だからこそ、弁護士の力を借りて適正な過失割合や後遺障害等級を認めてもらい、相手方保険会社と対等に交渉し、金額の大きさに惑わされることなく十分な賠償金を得ることがとても大切なのです。
弁護士がお助けできるのは、あくまでも金銭的賠償に関する部分になります。
従って、事故前の状態に戻すことは困難であるものの、その分、高次脳機能障害を負った本人やその家族の苦しみや心の傷を、慰謝料の上乗せ事由にできるよう尽力する等して、何らかの形で報われるような形を目指しています。
重要な問題であるからこそ、依頼者と弁護士の間には信頼関係が必要です。
ぜひ一度当事務まで足を運んで頂き、実際の会話を通して信頼できそうかどうかを判断してください。
その上でご依頼に至った際には、弁護士としても全力を尽くしたいと考えておりますので、まずはご一報頂けることをお待ちしております。